2022/12/09 19:00

1回目の発信として新しく始まったニットウエアーのお話をしたいと思います。英国圏から多くの素晴らしい手編みのセーターを毎シーズン輸入していますが、お客様からの声で『素敵な商品なのにもう少し軽量な方が良いは』とか『着た時に首の周りがチクチクする』等のご意見をいただくことがあります。
私も以前からこの完成された商品に使われるブリティッシュウールの良い面と改良が必要な面を理解していましたので、全く違う発想から生まれる新しい素材の開発に興味を持っていました。
そのような時にある出会いから新たな素材と巡り合い、素晴らしい技術力で製品を作り上げることができる工房とも巡り合うことができました。

素材は『YAK』というチベット、インドのカシミール地方などの標高4000〜6000mの山岳地帯に生息するウシ科の動物です。
ヤク(YAK)は、高い保温性と通気性を兼ね備えた、1年を通して着心地の良い素材であることが分かりました。
保温性はウールより約30%高く、カシミヤと同等。 通気性はカシミヤよりも130%高く、毛玉になりにくい素材です。
1頭のヤクから1年にわずか100gしか取れない大変貴重な素材は、ウールアレルギーがある方でもチクチク痒くならないといわれています。
その中でも『白ヤク』といわれる白いヤクは大変希少なもので、この白ヤクのあごやお腹の柔らかな毛だけを使用する商品は滑らかで肌触りが良くて軽量が特徴になります。

この白YAKの毛糸をつかい、手編みでフィッシャーマンセーターとベストを限定数で生産しました。
新しく仕事を始めた工房では優秀な職人を揃えて私達のリクエストに完璧に応えてくれ、素晴らしい商品を作ってくれます。
初めての中国生産はとても満足度の高い取り組みができ、作り手が年々減少する英国圏や欧州の生産減を補える仕事にしたいと考えています。
そして作り手側の高い技術力を反映した商品の提案を、更に強く進めていこうと思います。
巡り合えた幸運に感謝の気持ちを忘れません。

<フィッシャーマンズセーターの由来>
フィッシャーマンズセーターの編み柄は、妻や娘が極寒の危険な海に出る愛する夫や父親のために、あるいは恋人のために安全を祈願しながら一針一針心を込めて編んだセーターといわれています。トレリス ステッチの本質は、一連の長いステッチを格子状に編むことで独特な編み柄に表れます。ゆったりとしたサイズ感はレイヤードのコーディネートやオフでのリラックスした時間の着用に向いています。淡い白ヤクの色合いと柔らかな風合いが厳しい寒さの中でも気分を穏やかに癒して暖かさを与えてくれます。

YAKを使用した商品