2022/12/16 19:00
画像でご覧いただけるようにカシミア100%のカシミア山羊糸を16ゲージのPlain Knittingとインターシャでオールドキャデラックの柄を編みたて、手刺繍で銀色の糸を使いグリル・バンパー・タイヤ・ライト等を立体的に仕上げています。シンプルで普通ですが"CADILLAC"の柄が放つ控えめなラグジュアリー感がどこか上品な印象を与えてくれます。カシミア100%なので寒い時も心強いアイテムです。
少し深堀ですが、所謂ピクチャーニットは1940年代に米国のJANTZEN社からインターシャのニットウエアーとして発表されています。
1970年代からファッションは多様化の時代に入り、洗練されたジーンズ・フレアーボトム・タイダイ等現代にも引き継がれているアイテムが数多く生まれた時代でした。ピクチャーニットも多くのブランドから様々な種類の商品が発表されて人気を博していました。
また、ローレンハットン、ジョニーミッチェル、ジェーンバーキン、ビアンカジャガー等のファッションアイコンが活躍した華やかな1970年代でもありました。
モチーフとしての " CADILLAC ” で少し深堀
始まりは1902年と、アメリカでも長い歴史を持つキャデラックは、ヘンリー・マーティン・リーランドによって設立。名称となったキャデラックは、モーターシティとして知られるミシガン州・デトロイトを開拓したフランスの貴族「Cadillac(カディヤック)伯爵」に因んで命名されました。キャデラックの高品質が認知され、大統領を始め富裕層に愛用される高級車として世界的にも有名になりました。62シリーズのデラックス版としてデビューしたデビルの初代は、フィッシュテールと伸びやかなスタイリングで、50年代以降アメ車の象徴といわれています。
アメリカが最も輝き、あらゆる文明の先端を走っていた時代の象徴であるCADILLAC デビルをセーターのモチーフとして採用したのは『良き時代のラグジュアリーな世界観』が今の時代ではある種の願望と目標になり、日々の暮らしに力と夢を持たせてくれる一助になる事を期待したからです。また、当時のピクチャーニットはアクリルやポリエステルの糸を使うケースが目立っていました。今回の試みは敢えてカシミア糸を採用していることも大きな拘りとしてお伝えします。
<豆知識>
カシミヤは、中国・モンゴル・イランなど山が多く夏と冬の寒暖差が激しい地域に生息しています。冬になると氷点下何十度!になる場所で自分の身を守るために、表面の粗い毛の間にほそーい産毛を生やすそうです。そのほそーい産毛がセーターの原料になります!この原料は捲縮しており(クリンプともいいます)、1本1本パーマがかかったようになっています。そのため真っ直ぐな毛より空気を沢山含み、熱を保温してくれます。細くてくるくるの毛がぎっしり生えていたら、確かに暖かそうです。
夏が近づき暖かくなってくると、カシミヤ山羊も衣替えをするそうで、5月ごろにその細い産毛は抜けてしまいます。
その時期に合わせて櫛を使って産毛を梳きとるのですが、1頭から100g程度しか取れないのです。